もくじ
INDEX
2022年11月30日
「会計」というと、経理部門の人が知っておくべきスキルであって、経理関係者以外は知らなくても良いと思っているビジネスパーソンも少なからずいると思います。
さらには、会計は知っておいた方が良いけれど、日々のビジネスシーンではあまり活用しないと思っている方も多いのではないでしょうか。
ただ、実は会計の知識は全ての部門の業務において日々何等かの関わりがあると言っても過言ではありません。
もくじ
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「会計」というと、経理部門の人が知っておくべきスキルであって、経理関係者以外は知らなくても良いと思っているビジネスパーソンも少なからずいると思います。
さらには、会計は知っておいた方が良いけれど、日々のビジネスシーンではあまり活用しないと思っている方も多いのではないでしょうか。
ただ、実は会計の知識は全ての部門の業務において日々何等かの関わりがあると言っても過言ではありません。
営業部門:案件についての見積作成➡受注・契約(請求書の発行/会社として売上の認識)
➡納品➡商品・サービスに対する入金をしてもらう(入金処理/会社の債権が現預金に変っている)
経営企画室:会社の中期経営計画等の策定、社内予算の取りまとめ(この際にベースとなるのが決算書の情報等、会計に関わるもの)
人事部:人件費のデータが決算書の引当金項目に利用される
会計には主に次の3つの役割があります。会計が担っている役割を見てましょう。
会計は過去の会社の実績を正確に記録してくれます。そして重要なのは記録の仕方がほぼ同じルールに基づいて行われるので、他社と比較する場合においても比較可能性が高いという事です。
管理会計(会社独自で設計ができる会計の分野)では、過去の実績を使いつつも、将来の予測に役立つ事を目指します。
また、予算との対比を行い、当初立てた計画との乖離を分析する事で、今後の行動計画策定の道しるべを示してくれます。
会計は大きく財務会計と管理会計に分類され、財務会計はさらに、会社法会計、税務会計、金融商品取引法会計の3つに分けられます。それぞれ作成する目的や利害関係者が異なります。
会計は大きく財務会計と管理会計に分類され、財務会計はさらに、会社法会計、税務会計、金融商品取引法会計の3つに分けられます。それぞれ作成する目的や利害関係者が異なります。
会計は大きく財務会計と管理会計の2種類に分類されます。
(財務会計:法律等で定められたルールに則って作成されるもので、基本的に過去の実績が記録されます。)
会社法に従って決算をする事は、全ての日本の会社に義務付けられています。 (会社法決算)
会社法では株主及び債権者の保護を目的に、配当可能利益の算出ルールも定めています。
そして、会社法決算では計算書類の他に事業報告書と呼ばれる定性的な情報の作成をする事になります。
税務会計は法人税を計算する為に適用されるもので、基本的に会社法決算で確定した決算数値をもとに計算します。
税務会計も原則として全ての会社に適用されます。
(法人税は課税の公平性を目的として、課税のもととなる課税所得の求め方を定めています。)
金融商品取引法では投資家保護の観点から投資判断に必要な情報の開示方法を規定しています。
上場している会社は有価証券報告書を作成して株主をはじめとした投資家や利害関係者に会社の業績を開示しなければなりません。また、四半期ごとに四半期報告書も作成する必要があります。
有価証券報告書は原則として決算終了後3カ月以内に開示する必要がありますが、各社のホームページ等にも原則掲載されていますので、誰でも閲覧する事が可能です。
なお、上場企業以外の場合は他社の決算情報の収集は容易ではありません。全ての株式会社に決算公告を行う義務がありますが、必ずしも公告を実施していないからです。
(決算公告:決算の概要を官報、日刊新聞紙面、自社のWebサイトなどに掲載する制度)
公告しなかった場合の罰則規定もありますが、中小企業を中心にあまり掲載していないのが実情です。
また、税務会計に関しては、法人税の申告書は外部に公表する必要が無いため、自社以外の申告書を見る機会はめったに無いのが現実です。
管理会計は法律等の制度で決まりがあるものではなく、各社が自由に設計できるものです。財務会計が外部の利害関係者に過去の実績数値を決まったフォームで作成・開示するのに対して、管理会計の目的は社内メンバーや経営を担う管理者に、将来の意思決定に役立つための情報を提供する事にあります。
その為、会社ごとにその内容は異なり、例えば利益の定義財務会計で決まりがありますが、管理会計における利益は各社が自由に会社の特徴に合わせて設定する事が可能です。
上記のケースでは、コンサルティング業を営む会社が、売上からコンサルタントの人件費と外部委託した時に支払う業務委託費を引いた利益が重要な指標だと考えて、財務会計で算出される利益以外に会社が重要だと考えたこの利益を別途算出しています。その上で、算出された利益をコンサルタントのチームや個人の評価に使用します。
それ以外にも管理会計の領域では予算を策定して、予算と実績の乖離を分析する事も行われます。
一般的には会社が成熟するに従って管理会計に磨きがかかってくるケースが多いです。会社ができた当初は、まず過去の実績を中心とした必要最低限の財務会計を実施するのが精一杯ですし、管理会計的な側面まで実施してくれるスタッフを確保することは難しいのが実情です。
会社が軌道に乗ってくるに従って、会社の人事評価に管理会計を使ったり、IPOを目指すとなると財務会計の結果だけでは物足りなくなり、会社をより成長軌道に乗せる為に管理会計を導入し始める会社が多いです。
世界に目を向けると、国によって財務会計のルールが異なっており、経済のグローバル化の中で異なる国の会社について会計を比べる事は容易ではありませんでした。それを是正して国際間での比較可能性を高くしようというコンセプトの上で、世界的に導入されたのがIFRSです。
(IFRS:国際会計基準審議会によって認定される会計基準の総称)
IFRSは世界130か国以上で導入されています。ただ、世界の経済大国であるアメリカは独自の会計ルールを持っており、IFRSを適用していません。
日本においては、日本基準を保持しながらIFRSとの差異を縮小することによって、IFRSと同様の会計基準を採用しようとする「コンバージェンス」というアプローチを進めてきました。その過程において、日本ではIFRSの強制適用はされておらず、任意適用とされています。
(任意適用:全ての上場企業がIFRSを適用する必要はなく、以下の要件を満たす会社のうち、適用したいと希望する会社は適用可能という方法。また、任意適用はあくまでも連結財務諸表のみに認められており、個別財務諸表は引き続き日本基準に基づいて作成する必要があります。)
【任意適用が可能な要件】
以前は、上場企業であることも要件の一つでしたが、緩和により撤廃されました。その為、IPOを目指す会社も上場前から適用する事が可能となりました。
今回は日常的な行動、取引が会計につながっていること、そして会計の基本的な役割について解説をしていきました。
財務会計と管理会計の違い、会計が担うそれぞれの役割を理解することで、ビジネスシーンにおける会計の活用の幅が広がります。
会計は、過去の取引を記録するだけではなく、事業計画や予算の策定といった将来の企業経営の重要な判断指標にもなります。
本コラムを通じて少しでも会計を理解し、有効に活用していただき、今後の企業経営の一助となれば幸いです。
執筆者:黒川
「会計」というと、経理部門の人が知っておくべきスキルであって、経理関係者以外は知らなくても良いと思っているビジネスパーソンも少なからずいると思います。
さらには、会計は知っておいた方が良いけれど、日々のビジネスシーンではあまり活用しないと思っている方も多いのではないでしょうか。
ただ、実は会計の知識は全ての部門の業務において日々何等かの関わりがあると言っても過言ではありません。
営業部門:案件についての見積作成➡受注・契約(請求書の発行/会社として売上の認識)
➡納品➡商品・サービスに対する入金をしてもらう(入金処理/会社の債権が現預金に変っている)
経営企画室:会社の中期経営計画等の策定、社内予算の取りまとめ(この際にベースとなるのが決算書の情報等、会計に関わるもの)
人事部:人件費のデータが決算書の引当金項目に利用される
会計には主に次の3つの役割があります。会計が担っている役割を見てましょう。
会計は過去の会社の実績を正確に記録してくれます。そして重要なのは記録の仕方がほぼ同じルールに基づいて行われるので、他社と比較する場合においても比較可能性が高いという事です。
管理会計(会社独自で設計ができる会計の分野)では、過去の実績を使いつつも、将来の予測に役立つ事を目指します。
また、予算との対比を行い、当初立てた計画との乖離を分析する事で、今後の行動計画策定の道しるべを示してくれます。
会計は大きく財務会計と管理会計に分類され、財務会計はさらに、会社法会計、税務会計、金融商品取引法会計の3つに分けられます。それぞれ作成する目的や利害関係者が異なります。
会計は大きく財務会計と管理会計に分類され、財務会計はさらに、会社法会計、税務会計、金融商品取引法会計の3つに分けられます。それぞれ作成する目的や利害関係者が異なります。
会計は大きく財務会計と管理会計の2種類に分類されます。
(財務会計:法律等で定められたルールに則って作成されるもので、基本的に過去の実績が記録されます。)
会社法に従って決算をする事は、全ての日本の会社に義務付けられています。 (会社法決算)
会社法では株主及び債権者の保護を目的に、配当可能利益の算出ルールも定めています。
そして、会社法決算では計算書類の他に事業報告書と呼ばれる定性的な情報の作成をする事になります。
税務会計は法人税を計算する為に適用されるもので、基本的に会社法決算で確定した決算数値をもとに計算します。
税務会計も原則として全ての会社に適用されます。
(法人税は課税の公平性を目的として、課税のもととなる課税所得の求め方を定めています。)
金融商品取引法では投資家保護の観点から投資判断に必要な情報の開示方法を規定しています。
上場している会社は有価証券報告書を作成して株主をはじめとした投資家や利害関係者に会社の業績を開示しなければなりません。また、四半期ごとに四半期報告書も作成する必要があります。
有価証券報告書は原則として決算終了後3カ月以内に開示する必要がありますが、各社のホームページ等にも原則掲載されていますので、誰でも閲覧する事が可能です。
なお、上場企業以外の場合は他社の決算情報の収集は容易ではありません。全ての株式会社に決算公告を行う義務がありますが、必ずしも公告を実施していないからです。
(決算公告:決算の概要を官報、日刊新聞紙面、自社のWebサイトなどに掲載する制度)
公告しなかった場合の罰則規定もありますが、中小企業を中心にあまり掲載していないのが実情です。
また、税務会計に関しては、法人税の申告書は外部に公表する必要が無いため、自社以外の申告書を見る機会はめったに無いのが現実です。
管理会計は法律等の制度で決まりがあるものではなく、各社が自由に設計できるものです。財務会計が外部の利害関係者に過去の実績数値を決まったフォームで作成・開示するのに対して、管理会計の目的は社内メンバーや経営を担う管理者に、将来の意思決定に役立つための情報を提供する事にあります。
その為、会社ごとにその内容は異なり、例えば利益の定義財務会計で決まりがありますが、管理会計における利益は各社が自由に会社の特徴に合わせて設定する事が可能です。
上記のケースでは、コンサルティング業を営む会社が、売上からコンサルタントの人件費と外部委託した時に支払う業務委託費を引いた利益が重要な指標だと考えて、財務会計で算出される利益以外に会社が重要だと考えたこの利益を別途算出しています。その上で、算出された利益をコンサルタントのチームや個人の評価に使用します。
それ以外にも管理会計の領域では予算を策定して、予算と実績の乖離を分析する事も行われます。
一般的には会社が成熟するに従って管理会計に磨きがかかってくるケースが多いです。会社ができた当初は、まず過去の実績を中心とした必要最低限の財務会計を実施するのが精一杯ですし、管理会計的な側面まで実施してくれるスタッフを確保することは難しいのが実情です。
会社が軌道に乗ってくるに従って、会社の人事評価に管理会計を使ったり、IPOを目指すとなると財務会計の結果だけでは物足りなくなり、会社をより成長軌道に乗せる為に管理会計を導入し始める会社が多いです。
世界に目を向けると、国によって財務会計のルールが異なっており、経済のグローバル化の中で異なる国の会社について会計を比べる事は容易ではありませんでした。それを是正して国際間での比較可能性を高くしようというコンセプトの上で、世界的に導入されたのがIFRSです。
(IFRS:国際会計基準審議会によって認定される会計基準の総称)
IFRSは世界130か国以上で導入されています。ただ、世界の経済大国であるアメリカは独自の会計ルールを持っており、IFRSを適用していません。
日本においては、日本基準を保持しながらIFRSとの差異を縮小することによって、IFRSと同様の会計基準を採用しようとする「コンバージェンス」というアプローチを進めてきました。その過程において、日本ではIFRSの強制適用はされておらず、任意適用とされています。
(任意適用:全ての上場企業がIFRSを適用する必要はなく、以下の要件を満たす会社のうち、適用したいと希望する会社は適用可能という方法。また、任意適用はあくまでも連結財務諸表のみに認められており、個別財務諸表は引き続き日本基準に基づいて作成する必要があります。)
【任意適用が可能な要件】
以前は、上場企業であることも要件の一つでしたが、緩和により撤廃されました。その為、IPOを目指す会社も上場前から適用する事が可能となりました。
今回は日常的な行動、取引が会計につながっていること、そして会計の基本的な役割について解説をしていきました。
財務会計と管理会計の違い、会計が担うそれぞれの役割を理解することで、ビジネスシーンにおける会計の活用の幅が広がります。
会計は、過去の取引を記録するだけではなく、事業計画や予算の策定といった将来の企業経営の重要な判断指標にもなります。
本コラムを通じて少しでも会計を理解し、有効に活用していただき、今後の企業経営の一助となれば幸いです。
執筆者:黒川