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連結決算の基本的な考え方②

  • 会計

2022年09月15日

前回、企業グループ全体の財政状態や経営成績を把握するツールとして連結財務諸表について紹介しました。

連結財務諸表が生まれた背景や基本的な仕組み等については、ぜひ前回のコラムを見ていただきたいです。今回のコラムではそれ以外の内容について触れていきたいと思います。

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はじめに

前回、企業グループ全体の財政状態や経営成績を把握するツールとして連結財務諸表について紹介しました。

連結財務諸表が生まれた背景や基本的な仕組み等については、ぜひ前回のコラムを見ていただきたいです。
今回のコラムではそれ以外の内容について触れていきたいと思います。

前回のおさらい

前述の通り連結財務諸表は企業グループ全体の財政状態や経営成績を把握するツールです。

グループ全体の資産や負債、売上等を単純に合算して終わりというわけではなく、グループ会社間の取引によって生じたものを無かったことにすることで完成します。
この無かったことにするものとして代表的なものが「投資と資本の相殺」、「取引の相殺」、「債権債務の相殺」、「未実現利益の相殺」等といわれるものです。

個々の企業の数値を足し合わせて終わりではなく、グループ全体を一つの企業ととらえる視点で重複している物を控除する考えを持つと理解がしやすいかもしれません。

持分法

原則として連結財務諸表では親会社及び全ての子会社を連結の範囲に含めます。
では、それ以外の会社については何も考慮する必要は無いでしょうか。

例えば議決権の30%を保有しているが意思決定機関を支配していると判断されるような事実は無い、連結財務諸表に関する会計基準の子会社の定義に当てはまらずに連結の範囲に含まれていない会社はどうすればよいでしょうか。

そこで登場してくるのが持分法です。

1.持分法の基本的な考え方

持分法は連結財務諸表を作成するために、これまで述べてきたような各企業の資産や負債、売上等をまず単純に合算するという事はしません。ではどうするかというと、投資会社の投資割合に対応する部分を連結財務諸表へ反映するということを行います。例えばP社がA社の議決権の30%を保有しており、A社が1,000万円の利益を生み出したとすると300万円(1,000万円×30%)をP社の連結財務諸表へ反映させることになります。

誤解が無いよう記載しますと、これまで述べてきた子会社を連結財務諸表へ含める場合も完全支配関係がある(議決権の100%を保有)出ない限り、親会社の持ち分で無い部分は子会社の利益から控除することになります。

  • 上記の例で持分法の仕訳を計上するとこのようになります。
    投資有価証券300万円 / 持分法による投資損益 300万円

2.持分法の適用範囲

非連結子会社及び関連会社に対する投資については、原則として持分法を摘要するとなっています。

非連結子会社とは子会社ではあるものの連結の範囲に含めなかった会社をいいます。
前回、連結の範囲の中で子会社の定義に当てはまる企業であってもその支配が一時的であったり、連結の範囲に含めることによって利害関係者を誤認させる恐れがあったりする場合は連結の範囲に含めないと記載をしました。
これら連結の範囲に含めないこととした会社であっても持分法は適用しなければならないという事です。

一方で関連会社は子会社ではありません。定義上は企業が出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該子会社以外の他の企業をいうとしています。

やや分かりづらい定義ですが例えば議決権を20%以上(50%以下)の割合で持っている場合に重要な影響を与えることができると判断され関連会社となります。

海外子会社の連結

取引のグローバル化等に伴い、海外の会社を子会社に持つようなケースも増えてきています。
ではそれら海外の子会社を連結財務諸表へ含めようとする場合何か特別なことは必要となってくるのでしょうか。

1.基本的な考え方

子会社が海外に存在する場合でも連結財務諸表を作成する際の基本的な考え方は変わりません。

これまで通り子会社の会計数値を合算しつつ、取引の相殺や未実現利益の相殺といった処理を行っていくことになります。
しかし考えて頂きたいのが海外の子会社が作成する個別財務諸表は当然に円で表示はされていないということです。

例えばアメリカにある子会社であればその個別財務諸表はドルで表示されているでしょう。
親会社の円表示の財務諸表と子会社のドル表示の財務諸表を合算するにはどうすればよいでしょうか。

またそれとは別に親会社と子会社で異なる会計基準が用いられている場合どうすればよいでしょうか。

2.為替換算

ドルで表示されている財務諸表を円で表示されている財務諸表と合算する為には、ドルを円に為替換算する必要があります。
そしてその換算レートは科目ごとに異なっています。

  • 科目:換算レート
  • 資産・負債:決算日レート
  • 純資産:取引発生時レート
  • 収益・費用:期中平均レート(ただし決算日レートでも可)

全てが同一のレートでの換算とはなっていないため為替換算後貸借が一致しないという事になります。
この差額については為替換算調整勘定として純資産の部に計上することになります。

3.親会社子会社の会計処理

連結財務諸表に関する会計基準において同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、親会社及び子会社が採用する会計処理の原則及び手続は、原則として統一することとされています。
これは同一の環境下にあるにもかかわらず、同一の性質の取引等について連結会社間で会計処理が異なっている場合には、その個別財務諸表を基礎とした連結財務諸表が企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の適切な表示を損なうことは否定できないとされているためです。

ここで子会社が海外の子会社である場合気を付ける必要がある点として、親会社が会計基準として日本基準を、子会社が国際会計基準や米国会計基準を適用している場合があげられます。
「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」にも記載がありますが国際会計基準や米国会計基準であれば、日本基準と大きく乖離はしていないと考えられるため、異なる会計基準を採用していることをもって会計処理の原則及び手続きが統一されていないことにはなりません。

ただしそうはいっても処理方法が大きく異なるものもあり、下記の5件については連結財務諸表の作成に際し海外の子会社の会計処理を修正する必要があることとされておりますので注意してください。

  1. のれんの償却
  2. 退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理
  3. 研究開発費の支出時費用処理
  4. 投資不動産の時価評価及び固定資産の再評価
  5. 資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する選択をしている場合の組替調整

おわりに

今回は連結財務諸表の考え方の2回目ということで、持分法及び海外子会社が存在する場合について記載をしていきました。

連結財務諸表は子会社だけを考慮すればいいわけではない点や会計基準のコンバージェンスが進んでいる中でもまだまだ差異が残っている点等、本コラムを通じて少しでもその理解を深めていただければ幸いです。

 

執筆者:笠井

はじめに

前回、企業グループ全体の財政状態や経営成績を把握するツールとして連結財務諸表について紹介しました。

連結財務諸表が生まれた背景や基本的な仕組み等については、ぜひ前回のコラムを見ていただきたいです。
今回のコラムではそれ以外の内容について触れていきたいと思います。

前回のおさらい

前述の通り連結財務諸表は企業グループ全体の財政状態や経営成績を把握するツールです。

グループ全体の資産や負債、売上等を単純に合算して終わりというわけではなく、グループ会社間の取引によって生じたものを無かったことにすることで完成します。
この無かったことにするものとして代表的なものが「投資と資本の相殺」、「取引の相殺」、「債権債務の相殺」、「未実現利益の相殺」等といわれるものです。

個々の企業の数値を足し合わせて終わりではなく、グループ全体を一つの企業ととらえる視点で重複している物を控除する考えを持つと理解がしやすいかもしれません。

持分法

原則として連結財務諸表では親会社及び全ての子会社を連結の範囲に含めます。
では、それ以外の会社については何も考慮する必要は無いでしょうか。

例えば議決権の30%を保有しているが意思決定機関を支配していると判断されるような事実は無い、連結財務諸表に関する会計基準の子会社の定義に当てはまらずに連結の範囲に含まれていない会社はどうすればよいでしょうか。

そこで登場してくるのが持分法です。

1.持分法の基本的な考え方

持分法は連結財務諸表を作成するために、これまで述べてきたような各企業の資産や負債、売上等をまず単純に合算するという事はしません。ではどうするかというと、投資会社の投資割合に対応する部分を連結財務諸表へ反映するということを行います。例えばP社がA社の議決権の30%を保有しており、A社が1,000万円の利益を生み出したとすると300万円(1,000万円×30%)をP社の連結財務諸表へ反映させることになります。

誤解が無いよう記載しますと、これまで述べてきた子会社を連結財務諸表へ含める場合も完全支配関係がある(議決権の100%を保有)出ない限り、親会社の持ち分で無い部分は子会社の利益から控除することになります。

  • 上記の例で持分法の仕訳を計上するとこのようになります。
    投資有価証券300万円 / 持分法による投資損益 300万円

2.持分法の適用範囲

非連結子会社及び関連会社に対する投資については、原則として持分法を摘要するとなっています。

非連結子会社とは子会社ではあるものの連結の範囲に含めなかった会社をいいます。
前回、連結の範囲の中で子会社の定義に当てはまる企業であってもその支配が一時的であったり、連結の範囲に含めることによって利害関係者を誤認させる恐れがあったりする場合は連結の範囲に含めないと記載をしました。
これら連結の範囲に含めないこととした会社であっても持分法は適用しなければならないという事です。

一方で関連会社は子会社ではありません。定義上は企業が出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該子会社以外の他の企業をいうとしています。

やや分かりづらい定義ですが例えば議決権を20%以上(50%以下)の割合で持っている場合に重要な影響を与えることができると判断され関連会社となります。

海外子会社の連結

取引のグローバル化等に伴い、海外の会社を子会社に持つようなケースも増えてきています。
ではそれら海外の子会社を連結財務諸表へ含めようとする場合何か特別なことは必要となってくるのでしょうか。

1.基本的な考え方

子会社が海外に存在する場合でも連結財務諸表を作成する際の基本的な考え方は変わりません。

これまで通り子会社の会計数値を合算しつつ、取引の相殺や未実現利益の相殺といった処理を行っていくことになります。
しかし考えて頂きたいのが海外の子会社が作成する個別財務諸表は当然に円で表示はされていないということです。

例えばアメリカにある子会社であればその個別財務諸表はドルで表示されているでしょう。
親会社の円表示の財務諸表と子会社のドル表示の財務諸表を合算するにはどうすればよいでしょうか。

またそれとは別に親会社と子会社で異なる会計基準が用いられている場合どうすればよいでしょうか。

2.為替換算

ドルで表示されている財務諸表を円で表示されている財務諸表と合算する為には、ドルを円に為替換算する必要があります。
そしてその換算レートは科目ごとに異なっています。

  • 科目:換算レート
  • 資産・負債:決算日レート
  • 純資産:取引発生時レート
  • 収益・費用:期中平均レート(ただし決算日レートでも可)

全てが同一のレートでの換算とはなっていないため為替換算後貸借が一致しないという事になります。
この差額については為替換算調整勘定として純資産の部に計上することになります。

3.親会社子会社の会計処理

連結財務諸表に関する会計基準において同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、親会社及び子会社が採用する会計処理の原則及び手続は、原則として統一することとされています。
これは同一の環境下にあるにもかかわらず、同一の性質の取引等について連結会社間で会計処理が異なっている場合には、その個別財務諸表を基礎とした連結財務諸表が企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の適切な表示を損なうことは否定できないとされているためです。

ここで子会社が海外の子会社である場合気を付ける必要がある点として、親会社が会計基準として日本基準を、子会社が国際会計基準や米国会計基準を適用している場合があげられます。
「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」にも記載がありますが国際会計基準や米国会計基準であれば、日本基準と大きく乖離はしていないと考えられるため、異なる会計基準を採用していることをもって会計処理の原則及び手続きが統一されていないことにはなりません。

ただしそうはいっても処理方法が大きく異なるものもあり、下記の5件については連結財務諸表の作成に際し海外の子会社の会計処理を修正する必要があることとされておりますので注意してください。

  1. のれんの償却
  2. 退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理
  3. 研究開発費の支出時費用処理
  4. 投資不動産の時価評価及び固定資産の再評価
  5. 資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する選択をしている場合の組替調整

おわりに

今回は連結財務諸表の考え方の2回目ということで、持分法及び海外子会社が存在する場合について記載をしていきました。

連結財務諸表は子会社だけを考慮すればいいわけではない点や会計基準のコンバージェンスが進んでいる中でもまだまだ差異が残っている点等、本コラムを通じて少しでもその理解を深めていただければ幸いです。

 

執筆者:笠井