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令和4年度税制改正のポイント(グループ通算制度以外の法人課税)

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2022年04月04日

令和4年度税制改正のポイントの中で、グループ通算制度以外の法人課税に特化して次に掲げる項目について、みていきたいと思います。

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【令和4年度税制改正のポイント】

今回は、令和4年度税制改正のポイントの中で、グループ通算制度以外の法人課税に特化して次に掲げる項目について、みていきたいと思います。

※グループ通算制度については、別途掲載を予定しています。

  • 1-1.賃上げ促進税制(人材確保促進税制の抜本的な見直し:大企業)
  • 1-2.賃上げ促進税制(中小企業における所得拡大促進税制の見直し:中小企業)
  • 1-3.賃上げ促進税制(法人事業税の付加価値割における人材確保等促進税制)
  • 2.オープンイノベーション促進税制
  • 3.地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度、および雇用者の数が増加した場合の税額控除制度等
  • 4.5G投資促進税制
  • 5.資本の払戻しに係るみなし配当の額の計算方法等の見直し
  • 6.完全子法人株式等に係る配当等についての源泉徴収の廃止
  • 7.固定資産の取得等の後に補助金等の交付を受けた場合の圧縮記帳制度の適用の明確化
  • 8.少額の減価償却資産の取得価格の損金算入制度等
  • 9.大法人に対する法人事業税所得割の税率の見直し
  • 10.交際費等の損金不算入制度の期限延長

1-1.賃上げ促進税制(人材確保促進税制の抜本的な見直し:大企業)について

まず、こちらは令和4年4月1日から令和6年3月31日までに開始する各事業年度について適用されるものになっています。

こちらは適用要件で、改正がありました。継続雇用者給与等支給額が前年度から3%以上増加していることが改正後の要件となっています。改正前は「2%以上の増加」が要件となっていました。

もう一つ、一定の大企業については、「従業員への還元や取引先への配慮を行うこと等を宣言していること」という要件が加わりました。
まず、ここでいう一定の大企業とは、「資本金10億円以上かつ常時使用従業員数1,000人以上の企業」となっています。宣言の内容については、経産省に届出をする必要があります。宣言の実行性についてはペナルティはないようですが、公表される以上、その実績についてはある程度、実効性が求められるものになると思われます。

また、税額控除額については、基本は「控除対象雇用者給与等支給増加額×15%」という内容は改正前と変更はありません。
ただし、上乗せ要件を満たす場合には、改正前よりも大きな税額控除が可能となりました。

上乗せ要件の1つ目は、「継続雇用者の給与総額が前年度から4%以上増加した場合」です。
この場合には、基本では15%の税額控除額だったのが、プラス10%の25%の控除額となります。
もう一つの要件は、「教育訓練費が前年度から20%以上増加」した場合です。
この場合には、上乗せがさらに5%増え、30%の税額控除が可能となります。

改正前の内容を一応振り返りますと、上乗せ要件は「教育訓練費が前年度から20%以上増加した場合」には、控除対象新規雇用者給与等支給額×20%の税額控除が可能となっていました。

1-2.賃上げ促進税制(中小企業における所得拡大促進税制の見直し:中小企業)について

こちらの適用時期も1-1と同様で、令和4年4月1日から令和6年3月31日までに開始する各事業年度からとなっています。

中小企業者を対象とした賃上げ促進税制についてですが、適用要件は改正前と変更がなく、「雇用者給与等支給増加額が前年度から1.5%以上増加している場合」に適用となります。

税額控除額において、上乗せ要件に改正がありました。

上乗せ要件の一つ目は、「雇用者全体の給与等支給額が前年度比で2.5%以上増加」していれば、「雇用者給与等支給額の対前年度増加額×30%」の税額控除が受けられます。これに加え、「教育訓練費が前年度比で10%以上増加」した場合には、さらに10%の控除が加算され、「雇用者給与等支給額の対前年度増加額×40%」の税額控除が受けられます。

改正前の内容を振り返りますと、上乗せ要件では、①雇用者給与等支給額が前年度から2.5%以上増加」に加え、AもしくはBのいずれかをみたすこと、となっていました。
「A:教育訓練費の対前年度増加率10%以上 B:中小企業等経営強化税制による経営力向上の証明がされたこと」 これらの要件を満たすと「雇用者給与等支給額の対前年度増加額×25%」の税額控除となっていました。

1-3.賃上げ促進税制(法人事業税の付加価値割における人材確保等促進税制)について

こちらは外形標準課税の適用対象企業が対象となります。適用時期は、令和4年4月1日から令和6年3月31日までに開始する各事業年度からとなっています。

適用要件は、法人税と同様で「継続雇用者給与等支給額が前年度から3%以上増加していること」となっています。
付加価値額から控除できる金額は、「控除対象雇用者給与等支給増加額」に、雇用安定控除額を調整した金額です。

2.オープンイノベーション促進税制について

オープンイノベーション促進税制の内容は、「株式会社等又はそのコーポレートベンチャーキャピタルが、スタートアップ゚企業とのオープンイノベーションに向け、そのスタートアップ゚企業の新規発行株式を一定額以上取得する場合、その株式の取得価格の25%が所得控除される制度」となっています。

こちらの改正内容は、適用期限が2年延長され、払込期限が令和6年3月31日までとなりました。
出資行為の要件の改正については、取得株式の保有期間の下限が5年から3年に短縮されました。出資先のスタートアップ企業の要件(設立10年未満の国内外非上場企業)に、売上高に占める研究開発費の額の割合が、10%以上の赤字会社にあっては、「15年未満」という設立後の期間の要件に改正がありました。

3.地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度、および雇用者の数が増加した場合の税額控除制度等について

こちらの改正の内容は一定の措置を講じた上で、適用期限が2年延長されることになりました。

この制度を受けるためには、本社機能の移転・拡充となる都道府県知事に対し、「地方活力向上地域特定業務施設整備計画」を申請し、認定を受けることが必要です。

この制度は、

①認定を受けた事業者が、特定業務施設の新設または増設に際して取得等した建物等の資産に係る法人税等の特別償却または税額控除のいずれかの適用を受けることができます。

今回の改正により、適用期限が令和4年3月31日から令和6年3月31日までに延長となっています。
また、特定建物等の取得の要件が、整備計画の認定を受けた日から2年内に取得であったものが3年までに拡充されました。
中小企業以外の法人の取得価格の金額要件が2200万以上から2500万以上に変更となっています。

②認定を受けた事業者の、雇用者の数が増加した場合の税額控除を受けることが出来ます。

今回の改正点は、上と同様に適用期限が2年延長されて令和6年3月31日までに延長となっています。
改正前の適用要件には、地方事業所基準雇用者数のうち有期雇用又は短時間労働の新規雇用者以外の雇用者の数が2人以上であることの要件がありましたが、改正によりこの要件は廃止となりました。
また、対象雇用者の範囲に追加がありました。「整備計画認定の日以後に特定業務施設以外の施設において新たに雇用された者のうち一定の要件を満たす者でその事業年度終了の日において、特定業務施設に勤務する者」が対象に加えられました。
対象雇用者の範囲に、「有形雇用又はパートタイムである勤務者」は除外されることになりました。

他に整備計画に係る認定要件にも一定の改正がありました。雇用促進計画の提出期限にも改正があり、改正前は整備計画の認定の日から2か月以内となっていましたが、改正後は3か月以内となっています。

4.5G投資促進税制について

こちらは、5Gサービスの提供に必要となるICTインフラの早期全国展開及び円滑導入の支援を目的とする5G投資促進税制が令和2年度税制改正において創設され、所要の法整備が行われたものとなっています。

今回の改正のポイントは、

①適用要件の見直しを行った上で適用時期が延長されました。

<適用要件>

全国5G:多素子アンテナを用いないものを加える、マルチベンダー構成及びスタンドアロン方式のものに限定する、という改正がありました。また、適用基準では、前年度に開設されたものに限る要件を除外し、5G高度特定基地局を加えるという改正がありました。

ローカル5G:その特性を活用した先進的なデジタル化の取り組みであるものに限定される、という改正がありました。

<適用期限>

令和7年3月31日まで延長されました。

②税額控除が段階的に引き下げられ、特別償却については、令和7年3月31日まで延長されます。(税額控除は当期の法人税額の20%を上限とします。)

・税額控除:改正前は設備投資の15%であったものが、改正後は下記のように段階的に引き下げられます。

令和4年4月1日から令和5年3月31日までの間に事業の用に供したもの:15%(9%)

令和5年4月1日から令和6年3月31日までの間に事業の用に供したもの:9%(5%)

令和6年4月1日から令和7年3月31日までの間に事業の用に供したもの:3%

ただし条件不利地域以外の特定基地局の無線設備については()内の税率が適用。

※条件不利地域:地理的に5G基地局の整備条件が不利な地域(過疎地、辺地、離島、半島など)

5.資本の払戻しに係るみなし配当の額の計算方法等の見直し

こちらの改正のポイントは、資本の払戻等により金銭等の交付を受けた内国法人において、払戻直前の「払戻対応資本金額等」を超える部分の金額をみなし配当としてきましたが、その「払戻資本金額等」は、減少した資本剰余金の額が上限とされる、という内容になっています。

この改正は、令和3年3月11日の最高裁判決を基に改正が行われました。

こちらの取り扱いは、過去にさかのぼって適用されますので、再計算して納付税額等が過大となった場合には、還付のための更正の請求を行える場合があります。

6.完全子法人株式等に係る配当等についての源泉徴収の廃止

改正のポイントは、完全子法人株式及び関連法人株式等に係る配当については、源泉徴収が廃止されます。

適用時期は令和5年10月1日以後に支払いを受けるべき配当等です。

改正前までは、完全子法人株式等の配当等の額、関連法人株式等に係る配当等の額(負債利子を除く)については、全額が益金不算入となり法人税が課されないにも関わらず、その配当等の支払い時に源泉徴収を行っている状況となっていました。
よって、ここに係る源泉徴収を廃止することにより、この部分に係る法人税額の還付事務もなくすという改正内容になっています。

7.固定資産の取得等の後に補助金等の交付を受けた場合の圧縮記帳制度の適用の明確化

改正前は、補助金等の交付があってから、交付目的に適合した固定資産の取得をした場合に、圧縮記帳が適用される規程となっていましたが、改正により、固定資産を取得した後に補助金の交付を受けた場合に、圧縮記帳制度の適用があることを法令上明確化するものとなっています。

8.少額の減価償却資産の取得価格の損金算入制度等

下記の損金算入制度について、対象資産から貸付の用に供したものが除外されます。

  1.  取得価格が10万未満の減価償却資産
  2.  取得価格が20万未満の減価償却資産(一括償却資産)
  3.  取得価格が30万未満の減価償却資産(中小企業者等の少額減価償却資産)

※3.については、適用期限が2年間延長されます。

9.大法人に対する法人事業税所得割の税率の見直し

大法人に係る法人事業税の所得割について、軽減税率が廃止となります。

適用時期は令和4年4月1日以後開始する事業年度より適用となります。

改正前では、事業所等を2以下の都道府県にしか設けていない場合には、大法人であっても軽減税率が適用されてきました。

10.交際費等の損金不算入制度の期限延長

交際費等の額のうち、接待飲食費の額の50%に相当する金額の損金算入制度、中小法人が支出する交際費等の定額控除限度額(800万/年)の損金算入制度が2年延長されます。

 

執筆者:山梨

【令和4年度税制改正のポイント】

今回は、令和4年度税制改正のポイントの中で、グループ通算制度以外の法人課税に特化して次に掲げる項目について、みていきたいと思います。

※グループ通算制度については、別途掲載を予定しています。

  • 1-1.賃上げ促進税制(人材確保促進税制の抜本的な見直し:大企業)
  • 1-2.賃上げ促進税制(中小企業における所得拡大促進税制の見直し:中小企業)
  • 1-3.賃上げ促進税制(法人事業税の付加価値割における人材確保等促進税制)
  • 2.オープンイノベーション促進税制
  • 3.地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度、および雇用者の数が増加した場合の税額控除制度等
  • 4.5G投資促進税制
  • 5.資本の払戻しに係るみなし配当の額の計算方法等の見直し
  • 6.完全子法人株式等に係る配当等についての源泉徴収の廃止
  • 7.固定資産の取得等の後に補助金等の交付を受けた場合の圧縮記帳制度の適用の明確化
  • 8.少額の減価償却資産の取得価格の損金算入制度等
  • 9.大法人に対する法人事業税所得割の税率の見直し
  • 10.交際費等の損金不算入制度の期限延長

1-1.賃上げ促進税制(人材確保促進税制の抜本的な見直し:大企業)について

まず、こちらは令和4年4月1日から令和6年3月31日までに開始する各事業年度について適用されるものになっています。

こちらは適用要件で、改正がありました。継続雇用者給与等支給額が前年度から3%以上増加していることが改正後の要件となっています。改正前は「2%以上の増加」が要件となっていました。

もう一つ、一定の大企業については、「従業員への還元や取引先への配慮を行うこと等を宣言していること」という要件が加わりました。
まず、ここでいう一定の大企業とは、「資本金10億円以上かつ常時使用従業員数1,000人以上の企業」となっています。宣言の内容については、経産省に届出をする必要があります。宣言の実行性についてはペナルティはないようですが、公表される以上、その実績についてはある程度、実効性が求められるものになると思われます。

また、税額控除額については、基本は「控除対象雇用者給与等支給増加額×15%」という内容は改正前と変更はありません。
ただし、上乗せ要件を満たす場合には、改正前よりも大きな税額控除が可能となりました。

上乗せ要件の1つ目は、「継続雇用者の給与総額が前年度から4%以上増加した場合」です。
この場合には、基本では15%の税額控除額だったのが、プラス10%の25%の控除額となります。
もう一つの要件は、「教育訓練費が前年度から20%以上増加」した場合です。
この場合には、上乗せがさらに5%増え、30%の税額控除が可能となります。

改正前の内容を一応振り返りますと、上乗せ要件は「教育訓練費が前年度から20%以上増加した場合」には、控除対象新規雇用者給与等支給額×20%の税額控除が可能となっていました。

1-2.賃上げ促進税制(中小企業における所得拡大促進税制の見直し:中小企業)について

こちらの適用時期も1-1と同様で、令和4年4月1日から令和6年3月31日までに開始する各事業年度からとなっています。

中小企業者を対象とした賃上げ促進税制についてですが、適用要件は改正前と変更がなく、「雇用者給与等支給増加額が前年度から1.5%以上増加している場合」に適用となります。

税額控除額において、上乗せ要件に改正がありました。

上乗せ要件の一つ目は、「雇用者全体の給与等支給額が前年度比で2.5%以上増加」していれば、「雇用者給与等支給額の対前年度増加額×30%」の税額控除が受けられます。これに加え、「教育訓練費が前年度比で10%以上増加」した場合には、さらに10%の控除が加算され、「雇用者給与等支給額の対前年度増加額×40%」の税額控除が受けられます。

改正前の内容を振り返りますと、上乗せ要件では、①雇用者給与等支給額が前年度から2.5%以上増加」に加え、AもしくはBのいずれかをみたすこと、となっていました。
「A:教育訓練費の対前年度増加率10%以上 B:中小企業等経営強化税制による経営力向上の証明がされたこと」 これらの要件を満たすと「雇用者給与等支給額の対前年度増加額×25%」の税額控除となっていました。

1-3.賃上げ促進税制(法人事業税の付加価値割における人材確保等促進税制)について

こちらは外形標準課税の適用対象企業が対象となります。適用時期は、令和4年4月1日から令和6年3月31日までに開始する各事業年度からとなっています。

適用要件は、法人税と同様で「継続雇用者給与等支給額が前年度から3%以上増加していること」となっています。
付加価値額から控除できる金額は、「控除対象雇用者給与等支給増加額」に、雇用安定控除額を調整した金額です。

2.オープンイノベーション促進税制について

オープンイノベーション促進税制の内容は、「株式会社等又はそのコーポレートベンチャーキャピタルが、スタートアップ゚企業とのオープンイノベーションに向け、そのスタートアップ゚企業の新規発行株式を一定額以上取得する場合、その株式の取得価格の25%が所得控除される制度」となっています。

こちらの改正内容は、適用期限が2年延長され、払込期限が令和6年3月31日までとなりました。
出資行為の要件の改正については、取得株式の保有期間の下限が5年から3年に短縮されました。出資先のスタートアップ企業の要件(設立10年未満の国内外非上場企業)に、売上高に占める研究開発費の額の割合が、10%以上の赤字会社にあっては、「15年未満」という設立後の期間の要件に改正がありました。

3.地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度、および雇用者の数が増加した場合の税額控除制度等について

こちらの改正の内容は一定の措置を講じた上で、適用期限が2年延長されることになりました。

この制度を受けるためには、本社機能の移転・拡充となる都道府県知事に対し、「地方活力向上地域特定業務施設整備計画」を申請し、認定を受けることが必要です。

この制度は、

①認定を受けた事業者が、特定業務施設の新設または増設に際して取得等した建物等の資産に係る法人税等の特別償却または税額控除のいずれかの適用を受けることができます。

今回の改正により、適用期限が令和4年3月31日から令和6年3月31日までに延長となっています。
また、特定建物等の取得の要件が、整備計画の認定を受けた日から2年内に取得であったものが3年までに拡充されました。
中小企業以外の法人の取得価格の金額要件が2200万以上から2500万以上に変更となっています。

②認定を受けた事業者の、雇用者の数が増加した場合の税額控除を受けることが出来ます。

今回の改正点は、上と同様に適用期限が2年延長されて令和6年3月31日までに延長となっています。
改正前の適用要件には、地方事業所基準雇用者数のうち有期雇用又は短時間労働の新規雇用者以外の雇用者の数が2人以上であることの要件がありましたが、改正によりこの要件は廃止となりました。
また、対象雇用者の範囲に追加がありました。「整備計画認定の日以後に特定業務施設以外の施設において新たに雇用された者のうち一定の要件を満たす者でその事業年度終了の日において、特定業務施設に勤務する者」が対象に加えられました。
対象雇用者の範囲に、「有形雇用又はパートタイムである勤務者」は除外されることになりました。

他に整備計画に係る認定要件にも一定の改正がありました。雇用促進計画の提出期限にも改正があり、改正前は整備計画の認定の日から2か月以内となっていましたが、改正後は3か月以内となっています。

4.5G投資促進税制について

こちらは、5Gサービスの提供に必要となるICTインフラの早期全国展開及び円滑導入の支援を目的とする5G投資促進税制が令和2年度税制改正において創設され、所要の法整備が行われたものとなっています。

今回の改正のポイントは、

①適用要件の見直しを行った上で適用時期が延長されました。

<適用要件>

全国5G:多素子アンテナを用いないものを加える、マルチベンダー構成及びスタンドアロン方式のものに限定する、という改正がありました。また、適用基準では、前年度に開設されたものに限る要件を除外し、5G高度特定基地局を加えるという改正がありました。

ローカル5G:その特性を活用した先進的なデジタル化の取り組みであるものに限定される、という改正がありました。

<適用期限>

令和7年3月31日まで延長されました。

②税額控除が段階的に引き下げられ、特別償却については、令和7年3月31日まで延長されます。(税額控除は当期の法人税額の20%を上限とします。)

・税額控除:改正前は設備投資の15%であったものが、改正後は下記のように段階的に引き下げられます。

令和4年4月1日から令和5年3月31日までの間に事業の用に供したもの:15%(9%)

令和5年4月1日から令和6年3月31日までの間に事業の用に供したもの:9%(5%)

令和6年4月1日から令和7年3月31日までの間に事業の用に供したもの:3%

ただし条件不利地域以外の特定基地局の無線設備については()内の税率が適用。

※条件不利地域:地理的に5G基地局の整備条件が不利な地域(過疎地、辺地、離島、半島など)

5.資本の払戻しに係るみなし配当の額の計算方法等の見直し

こちらの改正のポイントは、資本の払戻等により金銭等の交付を受けた内国法人において、払戻直前の「払戻対応資本金額等」を超える部分の金額をみなし配当としてきましたが、その「払戻資本金額等」は、減少した資本剰余金の額が上限とされる、という内容になっています。

この改正は、令和3年3月11日の最高裁判決を基に改正が行われました。

こちらの取り扱いは、過去にさかのぼって適用されますので、再計算して納付税額等が過大となった場合には、還付のための更正の請求を行える場合があります。

6.完全子法人株式等に係る配当等についての源泉徴収の廃止

改正のポイントは、完全子法人株式及び関連法人株式等に係る配当については、源泉徴収が廃止されます。

適用時期は令和5年10月1日以後に支払いを受けるべき配当等です。

改正前までは、完全子法人株式等の配当等の額、関連法人株式等に係る配当等の額(負債利子を除く)については、全額が益金不算入となり法人税が課されないにも関わらず、その配当等の支払い時に源泉徴収を行っている状況となっていました。
よって、ここに係る源泉徴収を廃止することにより、この部分に係る法人税額の還付事務もなくすという改正内容になっています。

7.固定資産の取得等の後に補助金等の交付を受けた場合の圧縮記帳制度の適用の明確化

改正前は、補助金等の交付があってから、交付目的に適合した固定資産の取得をした場合に、圧縮記帳が適用される規程となっていましたが、改正により、固定資産を取得した後に補助金の交付を受けた場合に、圧縮記帳制度の適用があることを法令上明確化するものとなっています。

8.少額の減価償却資産の取得価格の損金算入制度等

下記の損金算入制度について、対象資産から貸付の用に供したものが除外されます。

  1.  取得価格が10万未満の減価償却資産
  2.  取得価格が20万未満の減価償却資産(一括償却資産)
  3.  取得価格が30万未満の減価償却資産(中小企業者等の少額減価償却資産)

※3.については、適用期限が2年間延長されます。

9.大法人に対する法人事業税所得割の税率の見直し

大法人に係る法人事業税の所得割について、軽減税率が廃止となります。

適用時期は令和4年4月1日以後開始する事業年度より適用となります。

改正前では、事業所等を2以下の都道府県にしか設けていない場合には、大法人であっても軽減税率が適用されてきました。

10.交際費等の損金不算入制度の期限延長

交際費等の額のうち、接待飲食費の額の50%に相当する金額の損金算入制度、中小法人が支出する交際費等の定額控除限度額(800万/年)の損金算入制度が2年延長されます。

 

執筆者:山梨